現在表示しているのは、次のバージョン向けのドキュメントです。Kubernetesバージョン: v1.25
Kubernetes v1.25 のドキュメントは積極的にメンテナンスされていません。現在表示されているバージョンはスナップショットです。最新のドキュメントはこちらです: 最新バージョン
KubernetesでWindowsコンテナをスケジュールするためのガイド
Windowsアプリケーションは、多くの組織で実行されるサービスとアプリケーションの大部分を占めます。このガイドでは、KubernetesでWindowsコンテナを構成してデプロイする手順について説明します。
目的
- WindowsノードでWindowsコンテナを実行するサンプルのDeploymentを構成します
- (オプション)Group Managed Service Accounts(GMSA)を使用してPodのActive Directory IDを構成します
始める前に
- Windows Serverを実行するマスターノードとワーカーノードを含むKubernetesクラスターを作成します
- Kubernetes上にServiceとワークロードを作成してデプロイすることは、LinuxコンテナとWindowsコンテナ共に、ほぼ同じように動作することに注意してください。クラスターとのインタフェースとなるKubectlコマンドも同じです。Windowsコンテナをすぐに体験できる例を以下セクションに用意しています。
はじめに:Windowsコンテナのデプロイ
WindowsコンテナをKubernetesにデプロイするには、最初にサンプルアプリケーションを作成する必要があります。以下のYAMLファイルの例では、簡単なウェブサーバーアプリケーションを作成しています。以下の内容でwin-webserver.yaml
という名前のサービススペックを作成します。:
apiVersion: v1
kind: Service
metadata:
name: win-webserver
labels:
app: win-webserver
spec:
ports:
# このサービスが提供するポート
- port: 80
targetPort: 80
selector:
app: win-webserver
type: NodePort
---
apiVersion: apps/v1
kind: Deployment
metadata:
labels:
app: win-webserver
name: win-webserver
spec:
replicas: 2
selector:
matchLabels:
app: win-webserver
template:
metadata:
labels:
app: win-webserver
name: win-webserver
spec:
containers:
- name: windowswebserver
image: mcr.microsoft.com/windows/servercore:ltsc2019
command:
- powershell.exe
- -command
- "<#code used from https://gist.github.com/19WAS85/5424431#> ; $$listener = New-Object System.Net.HttpListener ; $$listener.Prefixes.Add('http://*:80/') ; $$listener.Start() ; $$callerCounts = @{} ; Write-Host('Listening at http://*:80/') ; while ($$listener.IsListening) { ;$$context = $$listener.GetContext() ;$$requestUrl = $$context.Request.Url ;$$clientIP = $$context.Request.RemoteEndPoint.Address ;$$response = $$context.Response ;Write-Host '' ;Write-Host('> {0}' -f $$requestUrl) ; ;$$count = 1 ;$$k=$$callerCounts.Get_Item($$clientIP) ;if ($$k -ne $$null) { $$count = $$k } ;$$callerCounts.Set_Item($$clientIP, $$count) ;$$ip=(Get-NetAdapter | Get-NetIpAddress); $$header='<html><body><H1>Windows Container Web Server</H1>' ;$$callerCountsString='' ;$$callerCounts.Keys | % { $$callerCountsString='<p>IP {0} callerCount {1} ' -f $$ip[1].IPAddress,$$callerCounts.Item($$_) } ;$$footer='</body></html>' ;$$content='{0}{1}{2}' -f $$header,$$callerCountsString,$$footer ;Write-Output $$content ;$$buffer = [System.Text.Encoding]::UTF8.GetBytes($$content) ;$$response.ContentLength64 = $$buffer.Length ;$$response.OutputStream.Write($$buffer, 0, $$buffer.Length) ;$$response.Close() ;$$responseStatus = $$response.StatusCode ;Write-Host('< {0}' -f $$responseStatus) } ; "
nodeSelector:
kubernetes.io/os: windows
すべてのノードが正常であることを確認します。:
kubectl get nodes
Serviceをデプロイして、Podの更新を確認します。:
kubectl apply -f win-webserver.yaml kubectl get pods -o wide -w
Serviceが正しくデプロイされると、両方のPodがReadyとして表示されます。watch状態のコマンドを終了するには、Ctrl + Cを押します。
デプロイが成功したことを確認します。検証するために行うこと:
- WindowsノードのPodごとの2つのコンテナに
docker ps
します - Linuxマスターからリストされた2つのPodに
kubectl get pods
します - ネットワークを介したノードとPod間通信、LinuxマスターからのPod IPのポート80に向けて
curl
して、ウェブサーバーの応答をチェックします - docker execまたはkubectl execを使用したPod間通信、Pod間(および複数のWindowsノードがある場合はホスト間)へのpingします
- ServiceからPodへの通信、Linuxマスターおよび個々のPodからの仮想Service IP(
kubectl get services
で表示される)にcurl
します - サービスディスカバリ、Kubernetesのdefault DNS suffixと共にService名に
curl
します - Inbound connectivity,
curl
the NodePort from the Linux master or machines outside of the cluster - インバウンド接続、Linuxマスターまたはクラスター外のマシンからNodePortに
curl
します - アウトバウンド接続、kubectl execを使用したPod内からの外部IPに
curl
します
- WindowsノードのPodごとの2つのコンテナに
可観測性
ワークロードからのログキャプチャ
ログは可観測性の重要な要素です。これにより、ユーザーはワークロードの運用面に関する洞察を得ることができ、問題のトラブルシューティングの主要な要素になります。WindowsコンテナとWindowsコンテナ内のワークロードの動作はLinuxコンテナとは異なるため、ユーザーはログの収集に苦労し、運用の可視性が制限されていました。たとえば、Windowsワークロードは通常、ETW(Windowsのイベントトレース)にログを記録するか、アプリケーションイベントログにエントリをプッシュするように構成されます。MicrosoftのオープンソースツールであるLogMonitorは、Windowsコンテナ内の構成されたログソースを監視するための推奨方法です。LogMonitorは、イベントログ、ETWプロバイダー、カスタムアプリケーションログのモニタリングをサポートしており、それらをSTDOUTにパイプして、kubectl logs <pod>
で使用できます。
LogMonitor GitHubページの指示に従って、バイナリと構成ファイルをすべてのコンテナにコピーして、LogMonitorがログをSTDOUTにプッシュするために必要なエントリーポイントを追加します。
構成可能なコンテナのユーザー名の使用
Kubernetes v1.16以降、Windowsコンテナは、イメージのデフォルトとは異なるユーザー名でエントリーポイントとプロセスを実行するように構成できます。これが達成される方法は、Linuxコンテナで行われる方法とは少し異なります。詳しくはこちら.
Group Managed Service AccountsによるワークロードIDの管理
Kubernetes v1.14以降、Windowsコンテナワークロードは、Group Managed Service Accounts(GMSA)を使用するように構成できます。Group Managed Service Accountsは、自動パスワード管理、簡略化されたサービスプリンシパル名(SPN)管理、および複数のサーバー間で他の管理者に管理を委任する機能を提供する特定の種類のActive Directoryアカウントです。GMSAで構成されたコンテナは、GMSAで構成されたIDを保持しながら、外部Active Directoryドメインリソースにアクセスできます。Windowsコンテナ用のGMSAの構成と使用の詳細はこちら。
TaintsとTolerations
今日のユーザーは、LinuxとWindowsのワークロードをそれぞれのOS固有のノードで維持するために、Taintsとノードセレクターのいくつかの組み合わせを使用する必要があります。これはおそらくWindowsユーザーにのみ負担をかけます。推奨されるアプローチの概要を以下に示します。主な目標の1つは、このアプローチによって既存のLinuxワークロードの互換性が損なわれないようにすることです。
OS固有のワークロードが適切なコンテナホストに確実に到達するようにする
ユーザーは、TaintsとTolerationsを使用して、Windowsコンテナを適切なホストでスケジュールできるようにすることができます。現在、すべてのKubernetesノードには次のデフォルトラベルがあります。:
- kubernetes.io/os = [windows|linux]
- kubernetes.io/arch = [amd64|arm64|...]
Podの仕様で"kubernetes.io/os": windows
のようなnodeSelectorが指定されていない場合、PodをWindowsまたはLinuxの任意のホストでスケジュールすることができます。WindowsコンテナはWindowsでのみ実行でき、LinuxコンテナはLinuxでのみ実行できるため、これは問題になる可能性があります。ベストプラクティスは、nodeSelectorを使用することです。
ただし、多くの場合、ユーザーには既存の多数のLinuxコンテナのdeployment、およびコミュニティHelmチャートのような既成構成のエコシステムやOperatorのようなプログラム的にPodを生成するケースがあることを理解しています。このような状況では、nodeSelectorsを追加するための構成変更をためらう可能性があります。代替策は、Taintsを使用することです。kubeletは登録中にTaintsを設定できるため、Windowsだけで実行する時に自動的にTaintを追加するように簡単に変更できます。
例:--register-with-taints='os=windows:NoSchedule'
すべてのWindowsノードにTaintを追加することにより、それらには何もスケジュールされません(既存のLinuxPodを含む)。Windows PodがWindowsノードでスケジュールされるためには、nodeSelectorがWindowsを選択することと、適切にマッチするTolerationが必要です。
nodeSelector:
kubernetes.io/os: windows
node.kubernetes.io/windows-build: '10.0.17763'
tolerations:
- key: "os"
operator: "Equal"
value: "windows"
effect: "NoSchedule"
同じクラスター内の複数Windowsバージョンの管理
各Podで使用されるWindows Serverのバージョンは、ノードのバージョンと一致している必要があります。 同じクラスター内で複数のWindows Serverバージョンを使用したい場合は、追加のノードラベルとnodeSelectorsを設定する必要があります。
Kubernetes 1.17では、これを簡単するために新しいラベルnode.kubernetes.io/windows-build
が自動的に追加されます。古いバージョンを実行している場合は、このラベルをWindowsノードに手動で追加することをお勧めします。
このラベルは、互換性のために一致する必要があるWindowsのメジャー、マイナー、およびビルド番号を反映しています。以下は、Windows Serverの各バージョンで現在使用されている値です。
製品番号 | ビルド番号 |
---|---|
Windows Server 2019 | 10.0.17763 |
Windows Server version 1809 | 10.0.17763 |
Windows Server version 1903 | 10.0.18362 |
RuntimeClassによる簡素化
RuntimeClassは、TaintsとTolerationsを使用するプロセスを簡略化するために使用できます。クラスター管理者は、これらのTaintsとTolerationsをカプセル化するために使用するRuntimeClass
オブジェクトを作成できます。
- このファイルを
runtimeClasses.yml
に保存します。これには、Windows OS、アーキテクチャ、およびバージョンに適切なnodeSelector
が含まれています。
apiVersion: node.k8s.io/v1beta1
kind: RuntimeClass
metadata:
name: windows-2019
handler: 'docker'
scheduling:
nodeSelector:
kubernetes.io/os: 'windows'
kubernetes.io/arch: 'amd64'
node.kubernetes.io/windows-build: '10.0.17763'
tolerations:
- effect: NoSchedule
key: os
operator: Equal
value: "windows"
- クラスター管理者として使用する
kubectl create -f runtimeClasses.yml
を実行します - Podの仕様に応じて
runtimeClassName: windows-2019
を追加します
例:
apiVersion: apps/v1
kind: Deployment
metadata:
name: iis-2019
labels:
app: iis-2019
spec:
replicas: 1
template:
metadata:
name: iis-2019
labels:
app: iis-2019
spec:
runtimeClassName: windows-2019
containers:
- name: iis
image: mcr.microsoft.com/windows/servercore/iis:windowsservercore-ltsc2019
resources:
limits:
cpu: 1
memory: 800Mi
requests:
cpu: .1
memory: 300Mi
ports:
- containerPort: 80
selector:
matchLabels:
app: iis-2019
---
apiVersion: v1
kind: Service
metadata:
name: iis
spec:
type: LoadBalancer
ports:
- protocol: TCP
port: 80
selector:
app: iis-2019